サンペレグリノについて調べると、「体に悪い」「ウランが含まれている」「毎日飲むのは危険」といった情報を見かけることがあります。
普段から飲んでいる人にとっては、天然水なのにウランという言葉が出てくると、「飲み続けても大丈夫なの?」と気になるところです。
結論からいうと、現在確認できる成分や水質分析だけを根拠に、サンペレグリノを通常飲用することが「体に悪い」と一括りにすることはできません。
サンペレグリノはカルシウムやマグネシウムなどを含むミネラルウォーターで、過去の水質分析ではウランも検出されています。ただし、検出されたという事実と、健康上危険な濃度であることは別の話です。
また、「ウラン=発がん性」「マグネシウムが多いから腎臓に悪い」と単純化するのも適切ではありません。
この記事では、サンペレグリノ公式の成分情報やWHO(世界保健機関)などの資料をもとに、どこまでが確認できる事実で、どこからが注意の必要な解釈なのかを整理します。
結論|通常の飲用で「体に悪い」と一括りにはできない
サンペレグリノについて特に誤解しやすいポイントを先に整理すると、次のとおりです。
- カルシウムやマグネシウムなどを比較的多く含むミネラルウォーター
- 過去の水質分析で微量のウランが測定されている
- ただし、その測定値はWHOの飲料水に関する暫定ガイドライン値を下回っている
- WHOのウラン基準は「発がん性の境界値」として設定されたものではない
- 健康な人について、飲料などに自然に含まれるマグネシウムを一律に制限する根拠はない
- 炭酸やミネラルの多い水が胃腸に合うかどうかには個人差がある
つまり、「サンペレグリノだから危険」と考えるより、成分、実際の測定値、自分の体調や医療上の制限を分けて考えることが大切です。
特に腎疾患などで水分・ナトリウム・ミネラルの摂取について医師や管理栄養士から指示を受けている場合は、一般的な記事を基準に自己判断せず、その指示を優先してください。
サンペレグリノに含まれる主なミネラル
まず、「ミネラルが多い」というイメージだけでなく、現在の公式情報から具体的な数値を確認してみましょう。
サンペレグリノ日本公式サイトでは、代表的な標準分析値として次の数値が掲載されています。
| 成分 | 標準分析値 |
|---|---|
| カルシウム | 169mg/L |
| マグネシウム | 49.2mg/L |
| ナトリウム | 31.2mg/L |
| カリウム | 2.4mg/L |
| 硫酸塩(サルフェート) | 403mg/L |
| 重炭酸 | 249mg/L |
| 塩化物 | 49.8mg/L |
| フッ化物 | 0.5mg/L |
| 蒸発残留物(180℃) | 860mg/L |
※2026年9月時点で確認できるサンペレグリノ公式サイトの標準分析値です。天然のミネラルウォーターであるため、分析時期などによって測定値には違いが生じることがあります。
カルシウムとマグネシウムを多く含むため、日本で一般的に飲まれている軟水と比べるとミネラル感のある味わいです。
ただし、「ミネラルが多い=健康に良い」「硬水=体に悪い」のどちらも単純化しすぎです。
カルシウムやマグネシウムは体に必要な栄養素ですが、水だけで必要量を満たそうとする必要はありません。普段の食事を含めた全体で考えるものです。
マグネシウム49.2mg/Lは危険なの?
旧来の記事では、マグネシウムを多く摂ることで下痢や腎臓への負担が生じると説明されることがあります。
しかし、ここでは飲料に自然に含まれるマグネシウムと、サプリメントや医薬品として高用量を摂取する場合を分ける必要があります。
米国NIH(国立衛生研究所)の栄養補助食品局は、健康な人では食品や飲料に自然に含まれるマグネシウムによる過剰摂取は通常問題にならず、余剰分は腎臓から排泄されると説明しています。
一方、サプリメントや医薬品から高用量のマグネシウムを摂取した場合には、下痢、吐き気、腹部のけいれんなどが起こることがあります。詳しくはNIHのマグネシウム解説で確認できます。
したがって、サンペレグリノに49.2mg/Lのマグネシウムが含まれているという数字だけから、「飲み続けるとマグネシウム過剰になる」と判断するのは適切ではありません。
ウランが含まれているという話は本当?
サンペレグリノについて不安視される原因の一つが「ウランが含まれている」という情報です。
過去の公式水質分析でウランが測定されたこと自体は事実です。
2022年のS.Pellegrino Water Analysis Reportでは、ウランについて次の数値が報告されています。
| 項目 | 濃度 |
|---|---|
| 2022年S.Pellegrino水質分析 | 0.0072mg/L |
| 同じ値をµg/Lへ換算 | 7.2µg/L |
| WHOの飲料水暫定ガイドライン値 | 0.03mg/L(30µg/L) |
2022年の測定値7.2µg/Lは、WHOが示している30µg/Lより低い値です。
ここで重要なのは、「ウランが検出された」と「健康上問題となる量のウランが含まれている」は同じ意味ではないことです。
ウランは自然界の岩石や土壌にも存在する元素であり、地下水などに自然由来で含まれる場合があります。
なお、0.0072mg/Lは2022年の水質分析における測定値です。すべての時期、すべてのボトルにまったく同じ濃度が含まれていることを意味するものではありません。
実際、2021年の公式分析では0.0071mg/Lという値が報告されており、分析年による違いも確認できます。
「発がん性」という説明には注意が必要
「ウラン」と聞くと、放射線やがんを連想する人もいるでしょう。
しかし、サンペレグリノのウランについて「発がん性物質が入っているから危険」と説明するのは正確ではありません。
WHOは飲料水中のウランについて、0.03mg/L(30µg/L)という暫定ガイドライン値を示しています。
この値についてWHOは、主としてウランの化学毒性、特に腎臓への影響を基に設定していると説明しています。
またWHOの資料では、ヒトおよび実験動物におけるウランの発がん性について、判断するためのデータが十分ではないとされています。
つまり、WHOの30µg/Lという数字は、
「ここを超えたら発がんする」という境界値ではありません。
WHO自身も、飲料水中のウランについて化学的な毒性と放射線学的な影響を分けて評価しています。
詳しい評価はWHOの飲料水中ウランに関する資料で確認できます。
したがって、サンペレグリノを説明するときは、
- 過去の分析でウランが検出されている
- その測定値はWHOの暫定ガイドライン値より低い
- WHOの基準は主として腎臓への化学毒性を基にしている
- ウランが検出されたことだけを根拠に、サンペレグリノの発がん性を断定することはできない
というところまで分けて考える必要があります。
サンペレグリノは毎日飲んでも大丈夫?
「毎日飲んでいるけれど大丈夫?」という疑問も多いでしょう。
健康な人について、サンペレグリノだけを対象に「1日○mlまでなら安全」「○L以上は危険」と決める公的な基準は確認できません。
そのため、「1日500ml〜1Lが適量」といった独自の上限を設定するのは避けたほうがよいでしょう。
水分としてどのくらい必要かは、年齢、体格、活動量、気温、食事、発汗量、健康状態などによって変わります。
健康な人で、炭酸や硬水を飲んでも特に不調がなく、医療上の水分・ナトリウム・ミネラル制限も受けていないのであれば、毎日飲んでいるという事実だけを理由に「危険」と考える根拠はありません。
一方で、「ミネラルが多いから体に良い」と考えて大量に飲む必要もありません。
普通の水やほかの無糖飲料と同様、喉の渇きや食事、生活環境などに合わせて水分補給の選択肢の一つとして考えるのが自然です。
腎疾患などで食事・水分制限がある場合
ここは健康な人とは分けて考える必要があります。
腎機能が低下している人では、病状によって水分やナトリウム、カリウムなどの摂取量を個別に調整することがあります。
米国NIDDKも、慢性腎臓病では腎機能や検査結果によって適切な水分・ナトリウム・ミネラル量が異なるため、医療者と相談して決めるよう案内しています。
そのため、腎疾患などで「水分を○mlまで」「ナトリウムを制限」「特定のミネラルを控える」などの指示を受けている場合は、本記事の一般論より医師・管理栄養士からの指示を優先してください。
詳しくはNIDDKの慢性腎臓病と食事に関する解説も参考になります。
硬水でお腹がゆるくなる人はいる?
サンペレグリノを飲んだ後に、「お腹が張る」「少しゆるくなる」と感じる人もいるかもしれません。
ただし、「硬水だから必ず下痢になる」「マグネシウム49.2mg/Lだから下痢になる」と断定することはできません。
胃腸の感じ方にはいくつかの要素が関係します。
炭酸による膨満感
サンペレグリノは炭酸入りのミネラルウォーターです。
炭酸飲料を飲むと、炭酸ガスによってげっぷが出たり、お腹の張りを感じたりする人がいます。
そのため、普通の水では問題ないのに炭酸水だとお腹が張る場合は、ミネラルよりも炭酸が関係している可能性も考えられます。
硬水に含まれるマグネシウムや硫酸塩
WHOの硬水に関する資料では、マグネシウムと硫酸塩の両方が非常に高濃度で含まれる水では、便通に影響する可能性が説明されています。
ただし、WHOが例示する「マグネシウムと硫酸塩がおよそ250mg/Lを超える」といった条件に対し、サンペレグリノの現在の標準分析値はマグネシウム49.2mg/L、硫酸塩403mg/Lです。
そのため、サンペレグリノのマグネシウム量だけを見て「下剤のように作用する」と説明するのは適切ではありません。
一方で、普段軟水を飲んでいる人がミネラル量の多い水へ変えたときなど、飲み心地や胃腸の反応に個人差が出る可能性はあります。
飲むたびに腹痛や下痢が起こるのであれば、「健康に良いはずだから」と無理に続けず、いったん別の水へ替えて様子を見るのも選択肢です。症状が続く場合や強い症状がある場合は、水だけを原因と自己判断せず医療機関へ相談してください。
サンペレグリノが向く人・別の水を選んだ方がよい人
ここまでの内容を「結局、自分には合うのか」という視点で整理します。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 硬水らしいミネラル感が好き | サンペレグリノを選ぶ理由になります |
| 食事と一緒に無糖の炭酸水を飲みたい | 選択肢の一つになります |
| 普通の水では物足りず炭酸が好き | 体調に問題がなければ好みで選べます |
| 炭酸を飲むとお腹が張る・げっぷがつらい | 無炭酸の水のほうが飲みやすい場合があります |
| 飲むたびに胃腸の不調を感じる | 無理に続けず別の水を試す方法があります |
| ウランが含まれる水を心理的に避けたい | 基準値とは別に、別ブランドを選ぶのも個人の選択です |
| 医師から水分・ナトリウム・ミネラル制限を受けている | 自己判断で選ばず、指示された条件を優先します |
サンペレグリノを選ぶかどうかは、「健康に良い水か、悪い水か」という二択だけで決める必要はありません。
ミネラルの味や炭酸が好みに合うか、飲んだときに不快感がないか、医療上の制限があるかといった条件によって選べばよいでしょう。
まとめ|「ウランが入っている=体に悪い」とは判断できない
サンペレグリノについて「体に悪い」と言われる背景には、硬水に含まれるミネラルや、過去の水質分析でウランが検出されたことがあります。
ただし、確認できる事実を整理すると、必要以上に怖がるべき話とまではいえません。
- 現在の公式標準分析値はカルシウム169mg/L、マグネシウム49.2mg/L、ナトリウム31.2mg/L
- 2022年の公式水質分析ではウラン0.0072mg/L(7.2µg/L)が測定されている
- WHOの飲料水中ウランの暫定ガイドライン値は0.03mg/L(30µg/L)
- WHOのガイドライン値は主として腎臓への化学毒性を基にしている
- 「ウランが検出された=サンペレグリノに発がん性がある」とは断定できない
- 飲料に自然に含まれるマグネシウムを、健康な人が一律に制限する必要があるとはされていない
- 毎日の摂取量についてサンペレグリノ独自の「○mlまで」という安全基準は確認できない
したがって、健康な人が通常の水分補給の一部として飲む場合に、サンペレグリノを特別に危険な飲み物として扱う根拠は確認できません。
一方、炭酸やミネラルの多い水が体質に合わないことはあります。お腹の張りなどが気になる場合は無理に飲み続ける必要はありません。
また、腎疾患などで水分・ナトリウム・ミネラル摂取について医療者から指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
「ウラン」という言葉だけで判断するのではなく、実際の濃度、比較する基準、その基準が何を根拠に設定されているのかまで確認することが、サンペレグリノの安全性を考えるうえで重要です。


