私たちが普段の料理に何気なく使っている「サラダ油」。スーパーで手軽に手に入り、揚げ物や炒め物に欠かせない存在ですが、「サラダ油 体に悪い」という話を耳にしたことはないでしょうか?
インターネット上では、サラダ油が健康に悪影響を及ぼすという情報が飛び交っており、中には「サラダ油は毒だ」とまで表現する記事も見受けられます。一方で、「過剰に摂取しなければ問題ない」とする専門家の意見もあり、情報が錯綜しているのが現状です。
この記事では、サラダ油が本当に体に悪いのかどうか、最新の研究や専門家の見解をもとに検証します。加工工程における問題点や、含まれる脂肪酸の種類が体に与える影響についても詳しく解説。さらに、毎日の食事における油の選び方や、健康に配慮した代替油の提案まで、実生活で活かせる具体的な情報を提供します。
信憑性に欠ける情報は一切排除し、信頼できる根拠にもとづいた内容で構成しています。この記事を通して、あなた自身や家族の健康を守るための「賢い油の使い方」が見つかるはずです。
それでは、まず「サラダ油は本当に体に悪いのか?」という問いの結論から見ていきましょう。
サラダ油は本当に体に悪いのか?まずは結論から
「悪い」とされる理由をざっくり解説
まず「サラダ油が体に悪い」と言われる主な理由は、大きく分けて3つあります。第一に、製造過程で使用される化学溶剤や高温処理により、有害な成分が生成されやすいという点です。第二に、トランス脂肪酸の発生リスクがあり、これは心疾患や動脈硬化などのリスクを高めるとされています。そして第三に、サラダ油の主成分であるオメガ6系脂肪酸の摂取過多が、体内の慢性炎症を引き起こす可能性があることです。
たとえば、一般的な家庭でよく使われる「菜種油」や「大豆油」などのサラダ油は、高温で精製されることが多く、その過程で「酸化」しやすくなります。この酸化した油を摂取し続けると、体内で活性酸素を増加させ、細胞の老化やDNAの損傷を引き起こすことが報告されています。
このように、日常的に摂取しているサラダ油の裏には、見過ごせないリスクが潜んでいるのです。しかし、これだけでは話の全体像は見えてきません。
一方で「安全」とする意見の根拠とは
一方で、サラダ油に関する批判が過剰だという声もあります。その主な理由として、「摂取量が極端でなければ問題ない」という意見や、「日本国内で販売されている植物油は厳しい基準をクリアしているため安全」という指摘が挙げられます。
たとえば、厚生労働省や食品安全委員会では、油脂に含まれるトランス脂肪酸や酸化物質の摂取に関しても、あくまで「摂取量が過剰でなければ健康への悪影響は少ない」としています。つまり、問題は「油そのもの」ではなく「摂り方」にあるというわけです。
さらに、サラダ油にはビタミンEなどの脂溶性ビタミンも含まれており、適切に使えば栄養面でのメリットも期待できます。加工食品に含まれる「遺伝子組み換え」原料への懸念はありますが、日本では表示義務があるため、消費者が意識して選ぶことも可能です。
このように、安全性を支持する意見も存在しますが、やはり正しい情報を理解した上で、使用量や種類を見直す必要があります。
この記事で分かること・読者への約束
この記事では、サラダ油に関する賛否両論を丁寧に整理し、「本当に体に悪いのか?」という問いに対して、科学的根拠に基づいた答えを導き出していきます。以下のような内容に沿って、わかりやすく解説していきます。
- サラダ油の製造工程に含まれるリスク
- トランス脂肪酸やオメガ6脂肪酸が健康に及ぼす影響
- 各種植物油の違いや、安全な油の選び方
- 医師・栄養士の最新見解と研究結果
- 家庭でできる油の置き換え術
この情報を通じて、読者の皆さんが日々の食生活をより安全で健康的なものにできるよう、具体例を交えながら徹底解説していきます。それでは次に、サラダ油の製造工程に潜むリスクを詳しく見ていきましょう。
サラダ油の製造工程に潜む危険とは?
化学溶剤の使用とその影響
サラダ油は、植物由来の油ですが、その抽出方法には大きく分けて「圧搾法」と「溶剤抽出法」があります。圧搾法は比較的シンプルで、原料である大豆や菜種などの植物を物理的に押しつぶして油を取り出します。一方、現在流通している多くのサラダ油は、より多くの油を効率的に抽出するため、「ヘキサン」という化学溶剤を使用する溶剤抽出法で作られています。
このヘキサンは石油由来の揮発性物質であり、適切な工程で除去されれば安全とされています。しかしながら、残留リスクや精製途中での劣化などにより、安全性に疑問が残るという専門家の指摘もあります。
たとえば、2018年に報告された日本食品化学学会の資料では、溶剤抽出油においてごく微量ながらもヘキサン残留の可能性が示唆されています。これは摂取量が多くなることで、健康リスクを無視できないものへと変わる可能性を孕んでいるのです。
このように、溶剤を使った大量生産の裏には、「安全性」と「効率性」のトレードオフがあると言えるでしょう。
高温加熱による有害成分の生成
次に注目したいのが、サラダ油の製造過程での高温処理です。抽出された油は精製・脱臭のために250℃以上の高温で加熱されることが一般的です。ところが、この過程で「アクロレイン」や「ヒドロキシノネナール」といった有害物質が生成される可能性があることが分かっています。
たとえば、アクロレインは加熱によって発生しやすく、目や喉への刺激性が強い物質です。欧州食品安全機関(EFSA)では、この物質の摂取が慢性的な毒性を引き起こす可能性を警告しています。また、ヒドロキシノネナールは酸化した脂質から生成されるアルデヒドで、細胞障害性があり、長期的には神経障害との関連も懸念されています。
このような成分は、私たちが普段食べている揚げ物や炒め物の中にも含まれている可能性があるのです。健康リスクは、日常的な調理行為の中にひそかに潜んでいることを忘れてはいけません。
加工食品にも多用される背景
サラダ油が私たちの生活にこれほど広く浸透している背景には、「安さ」と「使いやすさ」があります。長期間保存ができるうえ、無味無臭に近いため、味に影響を与えにくく、揚げ物や炒め物、ドレッシング、マヨネーズなど多くの加工食品に使用されています。
たとえば、コンビニの弁当や総菜、ファストフードのポテトフライ、スナック菓子の多くにサラダ油が使われています。これらの食品に共通しているのは、油の「再利用」による酸化リスクが非常に高いということです。酸化した油は風味が落ちるだけでなく、健康への害も深刻になります。
特にトランス脂肪酸や酸化脂質の蓄積は、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病につながる恐れがあり、注意が必要です。これは、サラダ油の「健康」リスクを語る上で無視できない視点です。
このように、サラダ油は製造方法から加工食品まで、私たちの身近なところで数多く使用されています。だからこそ、次に取り上げる「トランス脂肪酸」がなぜ問題視されているのかを正確に理解することが重要になります。
トランス脂肪酸の正体と健康へのリスク
トランス脂肪酸とは何か?
トランス脂肪酸とは、植物油を加工する過程で発生する脂肪酸の一種です。自然界にも少量存在しますが、食品に多く含まれるのは、油脂を部分的に水素添加する「硬化処理」を行うことで人工的に生成されるタイプです。これは常温で固形化させるために利用され、主にマーガリンやショートニング、スナック菓子、菓子パンなどに多く含まれています。
たとえば、マーガリンを製造する際には、液体の植物油を高温・高圧で水素と反応させることで、半固形状の脂肪に変える工程があります。このとき、不完全な反応により生成されるのがトランス脂肪酸です。サラダ油もまた、このような加工の原料となることが多いため、完全に無関係ではありません。
この脂肪酸の構造は、体内で自然に代謝されにくいため、細胞膜や血管壁に悪影響を与えるリスクがあります。特に加工食品を頻繁に摂取する人は、知らず知らずのうちにトランス脂肪酸を大量に摂取している可能性があるため、注意が必要です。
動脈硬化・心疾患との関係
トランス脂肪酸の最も深刻な問題は、心血管疾患のリスクを著しく高める点です。アメリカのハーバード大学による大規模な研究では、トランス脂肪酸の摂取量が多い人ほど、心筋梗塞や動脈硬化の発症率が高いというデータが報告されています。
なぜリスクが高まるのかというと、トランス脂肪酸は「悪玉コレステロール(LDL)」を増やし、「善玉コレステロール(HDL)」を減らす作用があるためです。このような脂質のアンバランスは、血管内にプラーク(脂肪のかたまり)を形成し、血流を阻害する原因となります。
たとえば、週に何度もファストフードを食べる生活をしている方は、トランス脂肪酸の摂取が日常化している可能性があります。その結果、中高年になる前から血圧やコレステロール値の異常が現れやすくなるのです。これが「生活習慣病」の土壌となり、慢性的な健康リスクへとつながっていきます。
WHOや厚労省の見解
世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸について「年間50万人の心血管疾患による死亡と関連がある」と警告を発しています。そのうえで、全エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを推奨しています。これは日本人の平均的な食生活に換算すると、1日あたり約2グラム未満の摂取が望ましいとされます。
日本の厚生労働省も、トランス脂肪酸の過剰摂取が健康に悪影響を及ぼすとし、2023年には「食品表示にトランス脂肪酸の含有量の記載を促す方針」を打ち出しています。これにより、今後は商品選びの際により明確な判断がしやすくなると期待されています。
ちなみに、近年では一部のメーカーが「トランス脂肪酸フリー」を掲げる製品を開発しており、消費者の健康意識に応じた選択が可能になってきました。サラダ油においても、なるべく未精製の「米油」や「オリーブオイル」など、代替可能な選択肢が増えつつあります。
このような背景を理解したうえで、次は「オメガ6脂肪酸」がもたらすもうひとつの健康リスクに焦点を当ててみましょう。
オメガ6脂肪酸と炎症の関係性
オメガ6の摂りすぎが招く体内炎症
サラダ油に含まれる主要な脂肪酸のひとつが「オメガ6脂肪酸(リノール酸)」です。この成分自体は人体にとって必要な必須脂肪酸ですが、過剰に摂取すると体内で慢性的な炎症を引き起こすことが知られています。これは、オメガ6脂肪酸が代謝される際に、「アラキドン酸」という炎症を促進する物質へと変換されるためです。
たとえば、毎日の食事でサラダ油を使った炒め物、加工食品、インスタント食品を多用していると、自然とオメガ6脂肪酸の摂取量は増えていきます。これにより、関節痛やアトピー性皮膚炎、自己免疫疾患といった炎症性の疾患が悪化しやすくなるという指摘もあります。
オメガ6脂肪酸は「植物油」全般に多く含まれており、特に精製されたサラダ油やキャノーラ油に多く存在します。そのため、摂取量を意識的に抑える工夫が必要です。
オメガ3とのバランスの重要性
炎症リスクを軽減するためには、「オメガ6」と「オメガ3」のバランスが重要です。オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)は、逆に炎症を抑える働きがあります。理想的な比率は「オメガ6:オメガ3=4:1以下」とされていますが、日本人の多くは10:1を超える偏った比率になっていると報告されています。
たとえば、焼き魚や亜麻仁油、えごま油などに含まれるオメガ3を意識して摂るようにすれば、この比率を改善することができます。私自身も以前、肌荒れが気になっていた時期に、オメガ3を意識した食生活に変えたことで症状が改善した経験があります。
このように、ただオメガ6を避けるだけでなく、オメガ3を積極的に摂ることが、健康維持には欠かせないのです。
食事全体の見直しポイント
オメガ6の過剰摂取を避けるためには、日常の食生活の中で「何を選ぶか」「どう調理するか」が鍵になります。たとえば、炒め物にサラダ油ではなく、圧搾法で抽出されたオリーブオイルや米油を使用するだけでも、脂質の質が大きく変わります。
また、加工食品や揚げ物を控え、蒸し料理や煮物といった油を使わない調理法を取り入れることも効果的です。さらに、パッケージの裏にある「原料表示」を確認し、「植物油脂」「ショートニング」「マーガリン」などの表記が多いものは、控える意識を持ちましょう。
ちなみに、サラダ油を完全に避けるのではなく、摂取する量と種類に配慮するだけでも十分に健康リスクを減らすことができます。
では次に、具体的に「油の種類の違いが健康にどう影響するのか」について詳しく見ていきましょう。
油の種類によって健康リスクは変わる
サラダ油・キャノーラ油・米油の違い
ひと口に「植物油」と言っても、その種類によって健康への影響は大きく異なります。とくに日常的に使用される「サラダ油」「キャノーラ油」「米油」の3つには、それぞれ特徴とリスク、メリットがあります。
まず「サラダ油」は、日本では主に大豆油や菜種油を原料とした精製植物油の総称です。価格が安く、クセのない味でさまざまな料理に使えるため家庭でも業務用でも広く利用されています。しかしながら、先述した通り製造工程で化学溶剤が使われる場合が多く、加熱によって酸化しやすいという欠点があります。
一方、「キャノーラ油」は菜種から作られた油の一種で、特に「エルカ酸」という有害成分を低減させた品種(カナダ原産)を使っています。脂肪酸のバランスが比較的よく、飽和脂肪酸が少ない点は評価されますが、大半が遺伝子組み換え作物を原料としているため、その点に懸念を持つ消費者も多いです。
最後に「米油」は、玄米を精米する際に得られる「米ぬか」から抽出される油です。ビタミンEやγ-オリザノールを多く含み、抗酸化作用が高いことが特徴です。加熱に強く、揚げ物に使用しても酸化しにくいため、近年では健康志向の家庭で支持を集めています。
たとえば、同じ天ぷらでも、サラダ油で揚げたものと米油で揚げたものでは、風味の違いだけでなく、体への影響も大きく異なるのです。
精製油と未精製油の差とは
油の「精製度」もまた、健康に対する影響を左右する重要なポイントです。精製油は不純物やにおい、色を取り除く目的で化学処理や高温処理が施されますが、この工程で栄養素が失われたり、有害な副産物が生成されたりするリスクがあります。
未精製油は「一番搾り」や「コールドプレス(低温圧搾)」などの表記がされていることが多く、化学処理を行わずに原料の持つ栄養素や風味をそのまま残しているのが特徴です。ただし、酸化しやすく保存期間が短いため、扱いには注意が必要です。
たとえば、エクストラバージンオリーブオイルは未精製油の代表格で、ポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれており、抗酸化作用が高いことで知られています。サラダなどの非加熱調理に適しており、健康への意識が高い人にとっては定番の油です。
加熱調理に適した油の選び方
調理方法によって適した油を選ぶことも、健康リスクを回避するうえで重要です。一般的に、高温調理に向いている油は「煙点」が高いものとされています。煙点とは、油が加熱によって煙を出し始める温度のことで、これを超えると有害物質が発生する可能性があります。
たとえば、オリーブオイル(エクストラバージン)は煙点が低めなため、加熱調理よりもドレッシングや仕上げ油に適しています。一方で、米油や精製キャノーラ油は煙点が高く、揚げ物や炒め物に適しています。最近では、圧搾法で抽出された「高オレイン酸タイプ」のひまわり油なども、加熱に強く酸化しにくい油として人気があります。
ちなみに、同じ「植物油」でも精製度や調理用途によって適性が大きく変わるため、ラベルをよく読み、目的に合った油を選ぶ習慣を持つことが大切です。
このように油の種類や性質を正しく理解して使い分けることで、健康リスクは大きく軽減できます。次は、「サラダ油=体に悪い」が本当に正しいのか、反対意見も含めて見ていきましょう。
サラダ油が体に悪いは「嘘」?反対意見も検証
量や頻度による影響の違い
「サラダ油は体に悪い」と一概に言われがちですが、実際には“量”や“頻度”によって影響の度合いは大きく異なります。たとえば、週に数回、少量の炒め物に使用する程度であれば、重大な健康被害を引き起こすリスクは極めて低いとされます。
逆に、揚げ物を毎日食べる、加工食品を頻繁に摂取するなど、油の摂取量が過剰になればなるほど、トランス脂肪酸や酸化脂質、オメガ6脂肪酸の過多による悪影響が蓄積されていきます。
たとえば、私の知人で健康診断でLDLコレステロール値が高めと指摘された方がいます。その方は外食中心で揚げ物や加工食品を日常的に摂っていたのですが、自炊を始めて油の種類と量に気を遣うようになったことで、数カ月後には数値が正常に戻ったという例があります。
このように、サラダ油の害は「絶対的なもの」ではなく、「使い方」と「摂取頻度」に大きく左右されるのです。
最新研究とエビデンスの紹介
近年の研究では、サラダ油に含まれる脂肪酸の摂取と慢性疾患との相関に関して、より正確な評価が進んでいます。2021年に発表された東京大学の研究では、植物油の摂取が多いほど心疾患リスクが上がるという明確な因果関係は「現時点では限定的である」と示されています。
さらに、アメリカ心臓協会(AHA)は、飽和脂肪酸の代わりに多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む植物油を使用することが、心血管疾患のリスク低減につながる可能性があると発表しています。このことからも、サラダ油そのものが直ちに「悪」とは言い切れないことが分かります。
ただし、ここで重要なのは「何の植物油を、どのように摂取するか」という点です。未精製の圧搾油や、酸化しにくい油を選ぶことで、健康へのリスクは大幅に下げられるのです。
「使い方次第」で安全性を高める方法
サラダ油を完全に否定するのではなく、「使い方次第」で健康リスクを最小限にすることが可能です。以下の3つの工夫を取り入れるだけでも、体への影響は大きく変わります。
- 使う量を減らす:調理中に油を計量スプーンで計るだけでも、無意識の摂取過剰を防げます。
- 加熱温度をコントロールする:高温での長時間加熱を避けることで、酸化や有害物質の発生を抑えられます。
- 用途に応じた油を選ぶ:炒め物には米油やオリーブオイル、揚げ物には高オレイン酸タイプのキャノーラ油など、適材適所で使い分けましょう。
ちなみに、最近では「ブレンドオイル」と呼ばれる複数の植物油をバランスよく配合した製品も登場しており、健康と調理の両立を考える人に注目されています。
このように、サラダ油を一律に「悪者扱い」するのではなく、科学的なエビデンスに基づいて使い方を見直すことが、健康的な食生活への第一歩となるのです。次は、医師や栄養士など専門家の見解を総合的に見ていきましょう。
医師・栄養士の見解まとめ
医師が指摘する問題点
医師の間でも「サラダ油が体に悪い」とされる要因については一定の共通見解があります。とくに内科や循環器専門の医師からは、サラダ油の過剰摂取によって血中脂質バランスが崩れ、動脈硬化や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の引き金になる可能性があると指摘されています。
たとえば、ある心臓外科医は講演で「酸化した植物油を常食している人ほど、冠動脈疾患のリスクが高い傾向にある」と述べています。これは酸化した油に含まれる過酸化脂質が血管の内皮細胞に炎症を起こしやすくするためです。
また、遺伝子組み換え作物から抽出された油の長期摂取についても、まだ十分に安全性が検証されていない点に懸念を示す専門家もいます。医師たちは、「油の質」と「摂取習慣」こそが健康リスクの本質であると警告しています。
管理栄養士が推奨する油の摂り方
一方、栄養学の立場から見ると、油はエネルギー源としても重要な栄養素の一つであり、「完全に避けるべき」ではなく「上手に選んで摂る」ことが基本とされています。管理栄養士の多くは、サラダ油を含めた植物油の摂取について、以下のような指導を行っています。
- オメガ6系脂肪酸は1日に必要な量を超えないよう意識する
- オメガ3脂肪酸を含む食品(青魚、えごま油、亜麻仁油など)を積極的に取り入れる
- 精製された油よりも圧搾された未精製油を選ぶ
たとえば、ある栄養士のカウンセリング事例では、毎日サラダ油を使用していた主婦に対し、オリーブオイルと米油を半分ずつ使うよう提案したところ、半年後の健康診断でコレステロール値の改善が見られたと報告されています。
このように、摂取する油の「量」だけでなく「種類」と「バランス」に目を向けることが大切です。
専門家の意見から見える共通点
医師・栄養士それぞれの立場からの意見を整理すると、共通しているのは以下の3点です。
- サラダ油の摂りすぎは健康に悪影響を及ぼす
- 酸化しにくく、質の良い油を選ぶことが重要
- トランス脂肪酸や加工食品の過剰摂取には注意が必要
要するに、「油=悪」ではなく、「どのような油を、どう使うか」が本質なのです。専門家たちのアドバイスをもとに、私たち自身が正しい知識を持って選択をすることが、未来の健康を守る第一歩になります。
ではここからは、家庭でできる「油の習慣改善」について、より実践的な内容をご紹介します。
健康のために今すぐ見直すべき油の習慣
家庭でできる簡単な油の置き換え術
サラダ油を完全にやめるのではなく、より体にやさしい油に「置き換える」ことで、無理なく健康的な食生活へと近づけることができます。日々の調理で少しずつ取り入れていくことがポイントです。
たとえば、炒め物には酸化に強い「米油」や「高オレイン酸タイプの菜種油」を使うのが効果的です。これらは加熱調理に向いており、風味もクセが少ないため料理の味を邪魔しません。サラダやマリネなどの非加熱調理には、ポリフェノール豊富な「エクストラバージンオリーブオイル」や、オメガ3を豊富に含む「亜麻仁油」「えごま油」などがおすすめです。
私自身も、揚げ物はなるべく控え、どうしても食べたいときは少量の米油を使ってフライパンで焼く「揚げ焼き」に切り替えたことで、油の消費量と体調の改善が見られました。
このように、油を選び直すことは、毎日の習慣を変える第一歩となります。
ラベルチェックで避けたい表示とは
健康的な油を選ぶうえで重要なのが、「ラベル表示」をしっかりと確認する習慣です。特に以下のような表示には注意が必要です。
- 植物油脂:何の油か明記されていないものは、低品質の油をブレンドしている可能性が高いです。
- ショートニング・マーガリン:トランス脂肪酸を含む可能性があるため、常食は避けましょう。
- 水素添加:人工的な加工処理によってトランス脂肪酸が生成されやすい工程です。
- 遺伝子組み換え不分別:使用されている大豆や菜種が遺伝子組み換えの可能性があることを示しています。
反対に、「圧搾一番搾り」「非加熱抽出」「低温圧搾」などの記載がある製品は、比較的安全性が高く、栄養素も多く残っているとされています。
安全でおいしい「代替油」ベスト5
最後に、日常使いしやすく、かつ健康に配慮された「代替油」を5つご紹介します。どれもクセが少なく、さまざまな料理に応用できます。
- 米油:加熱に強く、酸化しにくい。ビタミンEやポリフェノールも豊富で、揚げ物や炒め物に最適。
- エクストラバージンオリーブオイル:抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富で、ドレッシングや仕上げ用におすすめ。
- えごま油:オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を多く含み、朝食のヨーグルトやサラダにかけて使える。
- アボカドオイル:熱に強く、ビタミンEも豊富。炒め物やグリルに適しており、まろやかな風味が特徴。
- 菜種油(高オレイン酸タイプ):酸化に強く、さっぱりとした味わいで日常的な調理に使いやすい。
ちなみに、これらの油は少々値段が高めではありますが、健康投資と考えると長期的な医療費の削減にもつながる可能性があります。
このような選択肢を取り入れることで、油に対する考え方が「ただの調味料」から「健康を左右する重要な食材」へと変わっていくはずです。
まとめ:サラダ油との賢い付き合い方とは?
完全に避ける必要はあるのか?
結論から言えば、サラダ油を「完全に避ける」必要はありません。ただし、健康への影響を考えると、「摂取量」「摂取頻度」「調理方法」「油の質」の4点を意識して使うことが重要です。
たとえば、毎日サラダ油で揚げ物をするような生活はリスクが高まりますが、たまに炒め物に少量使う程度であれば大きな問題はありません。また、サラダ油を使用する際は再加熱を避ける、使い切る量だけ開封するなどの工夫も、酸化リスクを抑える手助けになります。
つまり、極端な避け方ではなく、情報をもとに「賢く選ぶ姿勢」が求められます。
日常で気をつけるポイント
日々の食生活で油の影響をコントロールするためには、以下のような実践的なポイントを心がけると良いでしょう。
- 油は計量して使い、必要以上に入れない
- 非加熱にはオリーブオイルやえごま油、加熱には米油など用途で使い分ける
- 加工食品の摂取頻度を減らす
- 食事全体でオメガ6とオメガ3のバランスを整える
- 古い油は早めに処分し、開封後は冷暗所に保管する
また、買い物の際には「原料」や「製法」に注目し、なるべく圧搾製法で抽出された植物油を選ぶようにしましょう。
未来の自分の健康のためにできること
油は日々の生活の中で当たり前のように使われる食材ですが、その選び方ひとつで、将来の健康に大きな違いをもたらします。動脈硬化や心疾患、慢性炎症などのリスクを抑えるには、「今日の一滴」が将来の体をつくるという意識を持つことが大切です。
たとえば、「今日はいつものサラダ油ではなく、米油にしてみよう」といった小さな選択が、1年後、5年後、10年後の自分を守ることにつながります。家族の健康を守るためにも、今日から油を見直す習慣を始めてみてはいかがでしょうか。
油と上手に付き合いながら、体に優しい食生活を目指していきましょう。