学校や仕事の前に「熱があれば休めるのに」と考えたり、体温計の数字を見ながら「少しだけ体温を上げられないか」と思ったりすることがあります。
しかし、健康な状態から意図的に発熱させようとすることはおすすめできません。体を極端に温める、無理な運動をする、体調を崩す目的で生活習慣を乱す、体温計の数値を操作するといった行為は、病気による発熱を安全に再現するものではないからです。
特に、高温環境や過度な運動などによって体に熱がこもると、発熱とは別に熱中症などの危険な状態につながることがあります。
この記事では「熱を出す方法」の手順ではなく、なぜ熱を出したいのかによって、今どの行動を選べばよいかを整理します。すでに熱がある場合や、体温を上げようとして具合が悪くなった場合の対応も確認できます。
結論:わざと「発熱」を作ろうとしない
まず知っておきたいのは、病気に伴う「発熱」と、運動や暑い環境などによって体温が上がる「高体温」は同じものではないということです。
医学的にも発熱と高体温は区別されています。発熱では体温調節の仕組みそのものが変化しますが、高体温では体内で作られる熱や外部から受ける熱が、体から逃がせる量を上回ることで体温が上昇します。
詳しい医学的な区別については、J-STAGE掲載の「機能性高体温症の臨床」でも確認できます。
つまり、体を外から温めたり運動したりして一時的に温度を上げても、それを「風邪などによる発熱」と同じものとして扱うことはできません。
また、暑い環境や激しい身体活動などによって体温調節がうまくできなくなると熱中症につながります。環境省も、体温の上昇と体温調節機能のバランスが崩れて体内に熱がたまることを熱中症の仕組みとして説明しています。
詳しくは環境省「熱中症の予防方法と対処方法」を確認してください。
「熱を出したい理由」から今することを決める
同じ「熱を出したい」という検索でも、実際に困っていることは人によって異なります。先に目的を切り分けたほうが、安全な行動を選びやすくなります。
| 今の状況 | 優先すること |
|---|---|
| 学校や仕事を休みたい | 発熱を作らず、実際の体調や事情を事実の範囲で伝えて休養を相談する |
| 寒くて体を温めたい | 発熱させることを目標にせず、衣服や室温などで無理なく寒さを避ける |
| すでに熱っぽい・発熱している | 正しく体温を確認し、ほかの症状や全身状態も見る |
| 体温を上げようとして具合が悪くなった | 行為を中止し、暑さを避けて体を冷やすなど安全確保を優先する |
| 受診するべきか判断できない | かかりつけ医や地域の救急相談窓口を利用する |
学校や仕事を休みたいなら、熱を作る必要はない
「熱がなければ休めない」と考えて、無理に体調を悪くしようとするのは避けてください。
休みが必要になる理由は、発熱だけではありません。実際に頭痛、吐き気、強いだるさ、睡眠不足などがある場合もありますし、学校での人間関係や仕事上の負担など、体温とは別の事情によって通学・勤務が難しくなることもあります。
その場合は、存在しない症状を作るのではなく、実際に起きていることを事実の範囲で伝えるほうが安全です。
伝える内容は複雑にする必要はありません。
「今日は[実際に起きている体調・事情]があり、通学・勤務が難しいため、休みについて相談したいです」
学生で、学校へ行くこと自体が繰り返しつらくなっている場合は、家族だけで抱えず、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど相談しやすい人へ事情を話す方法もあります。
「休む理由を作るために病気になる」のではなく、なぜ休みたいほど負担になっているのかを確認することが、その後の問題解決につながります。
「熱があれば学校や仕事を休める」と考えている場合でも、実際にはない発熱を作る必要はありません。休みたい理由の整理や、学校・勤務先への伝え方については仮病を使わず安全に休むための伝え方と相談先で詳しく整理しています。

「体が冷える」と「発熱させる」は別の話
冬場などに体が冷え、「体温を上げたい」と感じて検索している場合もあります。
寒さを避けて快適な状態へ戻すことと、病気のような発熱を意図的に起こすことは分けて考えましょう。
寒いのであれば、暖かい場所へ移動する、濡れた衣服を着替える、気温に合った服装にするなど、通常の防寒で調整します。
一方、体温計の数字を高くする目的で過度に体を温め続ける必要はありません。
本当に熱があるときは「数字だけ」で判断しない
実際に体調が悪くて体温を測っている場合は、一度の測定値だけで原因を決めつけないことが重要です。
体温には個人差があり、時間帯や活動状況などによっても変動します。普段の自分の体温を知っておくと、いつもとの違いを判断しやすくなります。
体温についての基礎知識は、体温計メーカーのテルモ体温研究所でも確認できます。
体調を確認するときは、体温だけでなく次の点も一緒に見ましょう。
- 咳やのどの痛みなど、ほかの症状があるか
- 強いだるさがあるか
- 水分を取れているか
- 呼吸が苦しくないか
- 意識や受け答えに普段と違うところがないか
- 症状が悪化していないか
高齢の方、基礎疾患がある方、妊娠中の方、子どもなどは、発熱や感染症を疑う症状がある場合に早めの医療相談が必要になることがあります。
発熱などの症状があるときの相談については、厚生労働省「感染対策・健康や医療相談の情報」も参考になります。
体温を上げようとして具合が悪くなった場合
もし、すでに体温を上げようとして暑い場所に長くいたり、無理に運動したりして、めまい、頭痛、吐き気、強いだるさなどが出ている場合は、さらに体温を上げようとせず行為を中止してください。
環境省は、熱中症が疑われる場合の基本的な対応として、次の行動を案内しています。
- 暑さを避ける:冷房の効いた室内など涼しい場所へ移動する
- 体を冷やす:衣服を緩め、体を冷やす
- 自分で飲める状態なら水分・塩分を補給する
詳しい応急処置は環境省「熱中症の対処方法(応急処置)」で確認できます。
呼びかけに反応しない、自力で水分を取れないなどの状態では、無理に飲ませず119番へ連絡してください。環境省も、このような状態では救急車を呼ぶよう案内しています。
発熱時に医療機関へ相談するか迷ったら
発熱にはさまざまな原因があり、体温の数字だけから自分で原因を診断することはできません。
普段と明らかに様子が違う、症状が強い、悪化しているなどの場合は医療機関へ相談してください。
「救急車を呼ぶほどなのか」「今すぐ病院へ行くべきなのか」と判断に迷う場合、実施地域では救急安心センター事業「#7119」を利用できます。
#7119では、医師、看護師、救急救命士などから、救急車を呼ぶ必要があるか、すぐ受診する必要があるかなどについて助言を受けられます。実施地域は総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」で確認してください。
明らかに緊急性が高い場合は、#7119を待たず119番へ連絡します。
子どもの発熱で判断に迷う場合は#8000も利用できる
子どもの急な発熱について、休日や夜間に「病院へ行ったほうがよいのか」「家でどう対応すればよいのか」と迷う場合は、子ども医療電話相談「#8000」があります。
#8000は全国共通の短縮番号で、お住まいの都道府県の相談窓口につながり、小児科医師や看護師から症状に応じた助言を受けられます。利用時間は地域によって異なります。
詳細は厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」で確認できます。
よくある疑問
運動した直後に体温が高いのは発熱ですか?
運動によって体内で熱が作られるため、活動後に体温が変化することがあります。しかし、それだけで感染症などによる発熱と判断することはできません。
体調を確認する目的なら、運動で意図的に数字を上げようとせず、落ち着いた状態で使用している体温計の説明書に従って測定してください。
辛いものや温かい飲み物で熱を出せますか?
食べ物や飲み物によって体が温かく感じることはありますが、それを病気による発熱を作る方法として利用するのは適切ではありません。
食事は体温計の数字を上げるためではなく、普段の健康管理や体調に合わせて取るものと考えましょう。
熱がなくても学校や仕事を休んでよいですか?
休むかどうかは体温だけで決まるものではありません。実際の体調、通学・勤務が可能かどうか、学校や勤務先のルールなどを踏まえて判断します。
休みが必要なら、発熱を作るのではなく、実際の状況を家族、学校、勤務先などへ相談してください。
体温を上げようとした後、熱っぽさが続いています
まず体温を上げようとする行為を中止してください。暑い環境や運動の後で頭痛、吐き気、めまい、強いだるさなどがある場合は熱中症の可能性も考え、涼しい場所へ移動して体を冷やします。
症状が改善しない、自分で水分が取れない、受け答えがおかしいなどの場合は医療機関への受診や119番への連絡が必要です。判断に迷う場合は、利用できる地域で#7119に相談してください。
まとめ|「熱を出す」より、今困っていることへの対処を優先する
健康な状態から、学校や仕事を休む目的などで意図的に発熱させようとする必要はありません。
特に、無理な運動や高温環境などで体温を上げようとすると、狙った発熱になるのではなく、脱水や熱中症など別の健康問題につながる可能性があります。
「熱を出したい」と思ったときは、まず目的を切り分けてください。
- 休みたいなら、病気を作らず実際の体調や事情を相談する
- 寒いだけなら、通常の防寒で安全に調整する
- 本当に発熱しているなら、体温だけでなく全身状態を確認する
- 体温を上げようとして具合が悪くなったら、その行為をやめて安全確保を優先する
- 受診判断に迷ったら、医療機関や#7119、子どもなら#8000などの相談先を利用する
体温計の数字を作ることよりも、「なぜ休みたいのか」「いま実際にどんな症状があるのか」を確認するほうが、必要な次の行動につながります。


