引っ越しや模様替えで冷蔵庫を移動する際、「冷蔵庫を横にしたら何時間待てばいいのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。冷蔵庫は精密な機械であり、正しく扱わないと故障の原因になります。特に、冷蔵庫を横に倒して運搬した場合、適切な待機時間を守らないと冷却機能が正常に作動しないことがあります。
冷蔵庫には冷媒(ガス)やオイルが内部に循環しており、横倒しにするとこれらの流れが乱れる可能性があります。そのため、メーカーごとに推奨される待機時間が設定されており、これを守らずに電源を入れると、冷却機能の低下やコンプレッサーの故障につながる恐れがあります。
本記事では、冷蔵庫を横にした際に必要な待機時間やその理由を詳しく解説します。また、運搬時の正しい方法や、すでに横倒しにしてしまった場合の対処法についても紹介するので、安心して冷蔵庫を設置できるようになります。
さらに、メーカーごとの待機時間の違いや、中古冷蔵庫を購入した場合の注意点など、幅広い情報を網羅しています。冷蔵庫を正しく扱い、長く使用するためのコツを学びながら、安全に運搬・設置する方法を理解していきましょう。
まずは、冷蔵庫を横にすると何が起こるのか、基本的な仕組みについて詳しく見ていきます。
冷蔵庫を横にしたら何時間待つべき?基本の考え方
冷蔵庫を横にすると何が起こるのか?
冷蔵庫を横にすると、内部の冷媒(ガス)やコンプレッサーオイルの流れが乱れる可能性があります。通常、冷蔵庫は縦置きで使用することを前提に設計されており、内部のパーツもその状態で最適に動作するようになっています。
冷蔵庫のコンプレッサーには潤滑のためのオイルが含まれていますが、横倒しにするとこのオイルが通常の位置から移動し、冷媒の通り道に入り込むことがあります。この状態で電源を入れると、オイルが冷媒の流れを妨げ、冷却能力が低下したり、コンプレッサーに負担がかかって故障する原因となるのです。
また、冷媒が本来の循環経路を外れてしまうことで、冷却効果が正常に発揮されなくなることもあります。こうした問題を防ぐためにも、冷蔵庫を横にした後は適切な待機時間を守ることが重要です。
では、実際にメーカーが推奨する待機時間はどのくらいなのかを確認していきましょう。
メーカー推奨の待機時間とは?
各メーカーは、冷蔵庫を横にした際の推奨待機時間を設定しています。この時間は、コンプレッサーオイルが元の位置に戻り、冷媒の流れが正常に戻るのを待つためのものです。
一般的に、横倒しにした時間と同じか、それ以上の時間を縦置きで放置することが推奨されています。例えば、1時間横にした場合は、最低でも1時間、可能なら2〜3時間待つのが望ましいとされています。さらに、安全を期するなら6時間から24時間程度放置するのが理想的です。
以下に、いくつかの主要メーカーの推奨待機時間の目安を示します。
- 日立:最低6時間、可能なら12時間
- パナソニック:6〜12時間
- シャープ:12時間以上推奨
- 東芝:12時間以上
- 三菱:最低6時間、可能なら24時間
ただし、正確な待機時間は機種によって異なるため、取扱説明書を確認するか、メーカーのサポートに問い合わせるのが確実です。
では、冷蔵庫の種類によって待機時間が変わるのかについても見ていきましょう。
冷蔵庫の種類による違いはあるのか?
冷蔵庫の構造や冷却方式によって、横倒し後の影響や必要な待機時間が異なる場合があります。主に以下のような点が違いとして挙げられます。
- 直冷式(ファンなし):コンプレッサーの仕組みがシンプルなため、横倒ししても比較的影響が少ない。ただし、オイルの移動には注意が必要。
- ファン式(自動霜取り機能付き):冷媒の流れが複雑なため、横倒しの影響を受けやすい。待機時間を十分に取ることが推奨される。
- 業務用冷蔵庫:通常の家庭用冷蔵庫とは異なる冷却機構を持つ場合があり、横倒し後の影響が大きいこともあるため、必ずメーカー推奨の時間を守る。
特にファン式の冷蔵庫は、内部に複雑な冷却経路を持つため、冷媒の流れが乱れると故障しやすい傾向があります。そのため、一般的な家庭用のファン式冷蔵庫は、少なくとも12時間以上の待機時間を取るのが無難です。
このように、冷蔵庫の種類によっても横倒し後のリスクや待機時間が変わるため、自分の冷蔵庫のタイプを事前に確認しておくことが大切です。
では、そもそもなぜ冷蔵庫を横にすると故障のリスクが高まるのか、その原因について詳しく見ていきましょう。
なぜ冷蔵庫は横にすると故障する可能性があるのか
冷媒の流れとコンプレッサーの仕組み
冷蔵庫の冷却システムは、コンプレッサーと冷媒(ガス)の働きによって成り立っています。冷媒はコンプレッサーによって圧縮され、冷却効果を生み出すのですが、このプロセスは縦置きの状態を前提に設計されています。
横に倒してしまうと、冷媒が通常とは異なる経路を通る可能性があり、正しく循環しなくなることがあります。その結果、以下のような問題が発生することが考えられます。
- 冷媒が圧縮されず、冷却性能が落ちる
- コンプレッサーが異常動作し、負荷がかかる
- 内部の冷却システムにダメージを与える
特に、冷媒の循環が正常に戻らないまま電源を入れると、コンプレッサーが過剰に働き、故障のリスクが高まるため注意が必要です。
さらに、冷媒だけでなくコンプレッサーオイルの移動も故障の原因となります。次に、その影響について詳しく解説します。
オイル漏れのリスクとその影響
冷蔵庫のコンプレッサーには、内部の機械部品をスムーズに動作させるためのオイルが入っています。通常、このオイルは重力の影響でコンプレッサーの底に溜まっている状態ですが、冷蔵庫を横にすると流れ出す可能性があります。
オイルが冷媒の流れに混ざると、冷却効率が低下するだけでなく、コンプレッサー内部の部品が摩耗しやすくなります。最悪の場合、オイル不足によってコンプレッサーが焼き付き、修理が必要になるケースもあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、横倒しにした後は十分な時間をかけてオイルが元の位置に戻るのを待つ必要があります。
では、横倒し後にすぐ電源を入れると具体的にどのような影響が出るのかを見ていきましょう。
横倒し後にすぐ電源を入れるとどうなる?
冷蔵庫を横にした直後に電源を入れると、内部のコンプレッサーや冷却システムに深刻なダメージを与える可能性があります。その主な理由は、冷媒の流れの異常やコンプレッサーオイルの移動にあります。
すぐに電源を入れた場合に起こる可能性のあるトラブルを以下に挙げます。
- コンプレッサーの焼き付き:オイルが本来の位置に戻っていない状態で稼働させると、内部の部品が摩擦によって損傷し、コンプレッサーが故障する可能性がある。
- 冷媒の流れの乱れ:冷媒が通常とは異なる経路に移動した状態で電源を入れると、圧縮がうまく行われず冷却性能が低下する。
- 異音の発生:コンプレッサー内に本来あるべきオイルがない状態で動作すると、異音が発生することがある。
- 冷えない・温度が安定しない:コンプレッサーや冷媒の異常が原因で、庫内が適切な温度に保たれなくなる。
このように、冷蔵庫を横にした直後に電源を入れると、致命的な故障につながるリスクがあります。そのため、必ず適切な待機時間を確保し、冷媒やオイルが本来の位置に戻るのを待つことが重要です。
では、もし冷蔵庫を横にしなければならない状況になった場合、どのように運搬するのがベストなのかを見ていきましょう。
冷蔵庫を横にする必要がある場合の正しい運搬方法
どうしても横にする必要があるときのポイント
理想的には、冷蔵庫は常に縦置きの状態で運搬するのがベストですが、狭い廊下や階段、エレベーターに入らない場合など、どうしても横にしなければならないケースもあります。その場合は、以下のポイントを押さえておくとリスクを最小限に抑えることができます。
- コンプレッサー側を上にする:冷蔵庫の裏側を確認し、コンプレッサー(黒い円筒状の部品)がある方を上にして横倒しにすることで、オイルの流出を抑えられる。
- できるだけ短時間で済ませる:横倒しの時間が長いほど、オイルが流れ出るリスクが高まるため、できるだけ早く移動させる。
- 振動や衝撃を避ける:急な動きや強い衝撃を与えないようにし、ゆっくりと慎重に運搬する。
- 運搬後は十分な待機時間を確保する:横にした時間以上、可能なら6時間以上は縦置きで放置してから電源を入れる。
これらのポイントを意識することで、冷蔵庫を横にした場合でも故障のリスクを減らすことができます。では、運搬前に準備すべきことについても確認していきましょう。
移動前にすべき準備とは?
冷蔵庫を安全に運搬するためには、事前の準備が非常に重要です。適切な準備を行うことで、故障のリスクを軽減し、スムーズに作業を進めることができます。
以下の手順を参考に、運搬前の準備を進めましょう。
- 電源を切る:最低でも6時間前、できれば前日から電源を切り、庫内を常温に戻しておく。
- 水抜きを行う:製氷機や給水タンクがある場合は水を完全に抜き、水滴が残らないように拭き取る。
- 庫内の整理と固定:食品や棚板をすべて取り出し、棚板やトレーが動かないようにテープなどで固定する。
- ドアをしっかり固定:運搬中にドアが開かないよう、ガムテープやストラップでしっかりと固定する。
- 運搬方法の確認:運搬ルートを事前に確認し、障害物がないかチェックする。
このような準備を行うことで、冷蔵庫を安全に運搬することができます。では、実際に運搬する際の注意点についても見ていきましょう。
安全に運搬するための注意点
冷蔵庫は大型で重量もあるため、運搬時には特に注意が必要です。以下のポイントを守ることで、安全に移動させることができます。
- 必ず2人以上で運ぶ:冷蔵庫は重いため、一人で運ぼうとすると危険。最低でも2人、できれば3人以上で慎重に運ぶ。
- 専用の運搬ベルトを使う:持ち上げやすいように、冷蔵庫用の運搬ベルトや台車を使用する。
- 階段では無理に持ち上げない:階段を降りる際は、下の人がしっかり支え、ゆっくりと段差を降りる。
- トラックや車に載せる際は立てた状態が理想:できるだけ立てたまま固定し、揺れや衝撃を最小限に抑える。
これらの点に注意することで、冷蔵庫を横にせず、安全に運搬することができます。しかし、どうしても横にしなければならなかった場合は、適切な待機時間を確保し、設置前の確認を怠らないようにしましょう。
次に、冷蔵庫を横にした後、電源を入れるまでに行うべき正しい手順について解説します。
冷蔵庫を横にした後、電源を入れるまでの正しい手順
横倒し後に最適な放置時間の目安
冷蔵庫を横にしてしまった場合、すぐに電源を入れるのは厳禁です。内部のコンプレッサーオイルが適切な位置に戻るまで、一定時間放置する必要があります。
待機時間の目安としては、以下のようになります。
- 横にした時間が 1時間未満 → 最低でも6時間 待機
- 横にした時間が 1〜4時間 → 12時間以上 待機
- 横にした時間が 4時間以上 → 24時間待機 が推奨
これは一般的な目安ですが、冷蔵庫の種類やメーカーによって異なるため、取扱説明書を確認するか、メーカーサポートに問い合わせるのが確実です。
放置する際は、冷蔵庫を元の縦置きの状態に戻し、平らな場所に安定して設置することが重要です。また、この待機時間中に設置場所の確認や掃除を済ませておくとスムーズに進められます。
では、電源を入れる前に確認すべきポイントについて解説します。
設置前に確認すべきポイント
冷蔵庫の電源を入れる前に、以下の点を確認しておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。
- 設置場所が水平になっているか:傾いていると冷却効果が落ちる可能性があるため、水平器を使って確認する。
- コンセントが適切な位置にあるか:延長コードの使用は避け、直接コンセントに接続する。
- 冷蔵庫の裏側の通気スペースを確保:壁との間に適度な隙間を作り、放熱を妨げないようにする。
- 庫内のパーツが正しくセットされているか:移動中に棚板やトレーが外れていないか確認する。
- ドアの開閉がスムーズか:設置後にドアがきちんと閉まるか、ゴムパッキンに異常がないかをチェック。
これらを確認した上で、電源を入れる準備を進めます。次に、電源を入れる際の注意点について見ていきましょう。
電源を入れる際の注意点
冷蔵庫の電源を入れる際は、以下の手順を守ることが重要です。
- 最初は庫内を空にしておく:電源を入れてから庫内が十分に冷えるまで、食品を入れずに待つ。
- 最初の数時間はドアを開け閉めしない:冷却が安定するまで、頻繁にドアを開閉しない。
- 設定温度を確認:初期設定の温度が適切かチェックし、必要に応じて調整する。
- 異音や異常な振動がないか確認:電源を入れた直後に異常音がする場合は、すぐに電源を切り、再度放置時間を取る。
通常、電源を入れてから 3〜4時間程度 で庫内が冷え始め、半日〜1日 で完全に安定します。そのため、食品を入れるのは少なくとも数時間待ち、できれば翌日まで待つのが理想です。
これで冷蔵庫を安全に運転させる準備が整いました。しかし、横にしてしまったことでトラブルが発生する可能性もあります。次に、冷蔵庫を横にした後に起こりやすい問題と対処法について解説します。
冷蔵庫を横にしてしまった時のトラブル対処法
動作が不安定な場合のチェックポイント
電源を入れた後、以下のような症状が見られる場合は、トラブルの可能性があります。
- 冷蔵庫の冷却機能が正常に働かない
- 異常な振動や動作音がする
- 電源を入れても動作しない
- 庫内の温度がなかなか下がらない
このような症状が出た場合は、まず以下の点を確認してください。
- 待機時間が十分だったか:必要な待機時間を確保したか確認し、不足している場合は電源を切り、再度放置する。
- コンセントや電源コードに異常がないか:コードがしっかり接続されているか確認する。
- 冷蔵庫の傾き:設置場所が水平になっているか再確認する。
これでも改善しない場合は、次に異音の原因を特定してみましょう。
異音がする場合の対処法
冷蔵庫を横にした後、電源を入れた際に「カタカタ」「ブーン」という異音がする場合、コンプレッサーオイルや冷媒が正常に戻っていない可能性があります。
異音の種類別に考えられる原因と対策を紹介します。
- カタカタ・ガタガタ音: 冷蔵庫が傾いている、または床が不安定な可能性 → 設置位置を調整する。
- ブーンという低音: コンプレッサーが通常より負荷を受けている可能性 → 電源を切って再度6〜12時間放置する。
- シューッという音: 冷媒が流れる音であり、通常の動作音なので心配不要。
異音が続く場合は、無理に運転を続けず、メーカーサポートに相談することをおすすめします。
では、冷蔵庫が冷えない場合の原因と対策について見ていきましょう。
冷えない場合の原因と解決策
冷蔵庫の電源を入れた後、「庫内が冷えない」「温度が安定しない」といった問題が発生することがあります。これは、横倒しした際に冷媒の流れが乱れたり、コンプレッサーオイルが本来の位置に戻っていない可能性があります。
冷えない原因として考えられるものを以下に挙げます。
- 待機時間が足りない:横にしてしまった時間に対して、適切な待機時間を取らなかった場合、オイルや冷媒が正常な位置に戻っていない可能性がある。
- コンプレッサーの負荷が高い:電源を入れた直後に大量の食品を入れると、庫内の温度が安定しにくくなる。
- 放熱スペースが足りない:冷蔵庫の背面や側面に十分な空間がなく、放熱が妨げられていると、冷却機能が低下する。
- 温度設定が適切でない:初期設定が適切でない場合、冷却が十分に行われないことがある。
このような場合、まず以下の対応を試してみてください。
- 冷蔵庫の電源を再度切り、6〜12時間程度放置 してから再度電源を入れる。
- 食品を一時的に取り出し、庫内が十分に冷えるまで待つ(通常3〜4時間)。
- 冷蔵庫の背面と壁の間に10cm以上のスペース を確保し、放熱しやすい環境を整える。
- 温度設定を「強」または「低温」 に変更し、冷却が正常に行われるか確認する。
これらの対策を行っても冷えない場合は、コンプレッサーや冷媒系統に異常がある可能性があるため、メーカーのサポートセンターに相談することをおすすめします。
次に、冷蔵庫のメーカーごとの待機時間の違いについて詳しく見ていきましょう。
メーカーごとの冷蔵庫待機時間の違い
主要メーカーの公式推奨時間一覧
各メーカーは、冷蔵庫を横にした際の推奨待機時間を異なる基準で設定しています。以下は、代表的な冷蔵庫メーカーの公式推奨時間の目安です。
- 日立:最低6時間、可能なら12時間以上放置
- パナソニック:6〜12時間待機を推奨
- シャープ:最低12時間以上推奨
- 東芝:12時間以上の放置が推奨される
- 三菱電機:最低6時間、長時間横にした場合は24時間放置
- Haier(ハイアール):12時間以上待機が必要
- LGエレクトロニクス:24時間の放置を推奨
メーカーによって推奨される時間に違いがあるのは、冷蔵庫の冷却方式やコンプレッサーの設計が異なるためです。
では、なぜ待機時間に差があるのか、その理由を見ていきましょう。
待機時間が異なる理由とは?
冷蔵庫の待機時間がメーカーごとに異なる理由はいくつかあります。
- 冷却方式の違い:直冷式とファン式で冷媒の流れ方が異なるため、オイルや冷媒の戻る時間に差が出る。
- コンプレッサーの構造:メーカーごとに設計が異なり、オイルが移動しやすいタイプとそうでないタイプがある。
- 冷媒の種類:使用している冷媒の特性によって、正常な循環に戻るまでの時間が異なる。
このため、取扱説明書に記載されている待機時間を必ず確認し、それに従うことが重要です。
では、待機時間についてメーカーに問い合わせる際のポイントについて見ていきましょう。
メーカーサポートに問い合わせる際のポイント
冷蔵庫の横倒し後の待機時間やトラブルが発生した際に、メーカーサポートへ問い合わせる場合、以下のポイントを押さえておくとスムーズに対応してもらえます。
- 冷蔵庫の型番を事前に確認:本体のシールや取扱説明書に記載されている型番を伝えると、正確な情報を得やすい。
- 横にした時間と状況を伝える:どのくらいの時間横にしたか、運搬後にどのような対応をしたかを具体的に説明する。
- 現在の症状を詳細に伝える:「冷えない」「異音がする」などの問題がある場合は、どのような音か、どの程度の時間冷却が続いているかを伝える。
- メーカー推奨の対応を確認する:待機時間やリセット方法について、公式の推奨対応を教えてもらう。
メーカーによっては、サポートページにFAQが掲載されていることもあるため、事前に確認すると問い合わせ時間を短縮できます。
さて、ここまで冷蔵庫の待機時間やトラブル対処法について詳しく解説してきましたが、次に引っ越しや運搬時に冷蔵庫を守るためのコツを紹介します。
引越し・運搬時に冷蔵庫を守るためのコツ
運搬前に必ず行うべき準備
冷蔵庫を引っ越しや模様替えで移動させる際は、事前に適切な準備を行うことで、故障のリスクを大幅に減らすことができます。以下の手順を守り、安全に運搬の準備をしましょう。
- 電源を切る:冷蔵庫の電源は最低6時間前、可能なら前日に切る。これにより庫内の霜が溶け、余分な水分が排出される。
- 水抜きを行う:給水タンクや製氷機がある場合、水を抜いておく。特に自動製氷機付きのモデルは、水が残っていると運搬中に漏れる可能性がある。
- 庫内を空にする:食品をすべて取り出し、内部の棚や引き出しを外しておく。固定できる場合は、テープで固定するのも有効。
- ドアを固定する:運搬中にドアが開かないように、テープやロープでしっかり固定する。
- 周囲の掃除:背面や底面のホコリを取り除き、運搬後の設置時に効率よく動作するようにしておく。
これらの準備を行うことで、運搬時のトラブルを最小限に抑えられます。次に、縦置きで運搬できない場合の代替策について説明します。
縦置きができない場合の代替策
冷蔵庫の運搬時には基本的に縦置きが推奨されますが、どうしても横にせざるを得ない場合の対処法を紹介します。
- コンプレッサー側を上にする:冷蔵庫の裏側にあるコンプレッサー(黒い円筒形の部品)が下にならないようにすることで、オイル漏れのリスクを軽減できる。
- 横倒しの時間を最小限に抑える:できる限り短時間で運搬を完了し、すぐに縦置きの状態に戻す。
- 運搬後は適切な待機時間を確保:横倒しにした時間と同じか、それ以上の時間を待機させ、オイルや冷媒が正常な位置に戻るのを待つ。
- 運搬中の振動や衝撃を避ける:冷蔵庫はデリケートな機械であり、強い振動や衝撃が加わると冷却機能に影響を与える可能性がある。
これらの点を意識することで、冷蔵庫を横にせざるを得ない状況でも故障リスクを最小限に抑えることができます。次に、運搬後に確認すべきチェックリストを見ていきましょう。
運搬後の確認すべきチェックリスト
冷蔵庫を新しい場所に設置した後、電源を入れる前に以下の点を確認してください。
- 冷蔵庫が水平に設置されているか:傾いていると冷却能力が落ちるため、水平器を使って確認する。
- 背面と壁の間に適切な隙間を確保:冷蔵庫は放熱するため、背面と側面に10cm以上のスペース を確保する。
- 電源コードやプラグに異常がないか:運搬時にコードが傷ついたり、プラグが曲がっていないかを確認する。
- ドアの開閉がスムーズか:ドアのパッキンに異常がなく、密閉できているかをチェック。
- 電源を入れてから6時間は食品を入れない:庫内が十分に冷えるまで待つ。
このチェックを終えたら、いよいよ冷蔵庫の使用を開始できます。しかし、中古の冷蔵庫を購入した場合は、さらに注意すべき点があります。次に、中古冷蔵庫の設置ポイントを解説します。
中古冷蔵庫を購入した際の設置ポイント
搬入時に冷蔵庫が横になっていた場合
中古冷蔵庫を購入すると、配送時に横置きで運ばれることがあります。その場合、すぐに電源を入れるのは避け、適切な待機時間を確保する必要があります。
- 横倒しの時間が不明な場合は、最低12時間放置:安全のために十分な時間を取る。
- 冷蔵庫の底部にオイル漏れがないか確認:オイルが漏れていると、コンプレッサーに異常がある可能性がある。
- 異音がしないかチェック:電源を入れた際にカタカタ音や異常な振動がないか確認。
適切な処置を行えば、中古冷蔵庫でも安心して使用することができます。次に、長期間保管されていた冷蔵庫の注意点について説明します。
長期間保管されていた冷蔵庫の注意点
しばらく使われていなかった冷蔵庫を再び使う場合は、以下の点に注意してください。
- 内部のカビや臭いをチェック:長期間放置された冷蔵庫は、内部がカビ臭くなっていることがあるため、消臭処理を行う。
- ゴムパッキンの劣化確認:ドアの密閉性が損なわれていると、冷却効率が低下する。
- 電源を入れる前に掃除:背面や底部に溜まったホコリを除去し、放熱性能を確保する。
これらのポイントを確認し、正常に動作するかチェックしましょう。最後に、冷蔵庫を長持ちさせるためのポイントについて解説します。
冷蔵庫を正しく扱い長持ちさせるための秘訣
適切な設置場所の選び方
冷蔵庫は適切な環境で使用することで寿命が延びます。設置場所を選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
- 直射日光を避ける:冷蔵庫の周囲温度が上がると、冷却効率が悪くなる。
- コンロの近くに置かない:熱を発する家電のそばに置くと、冷蔵庫の負担が増える。
- 放熱スペースを確保:壁との間に十分な隙間を空け、熱がこもらないようにする。
これらの工夫をすることで、冷蔵庫の故障リスクを減らし、長く使うことができます。
まとめ
冷蔵庫を横にした場合、適切な待機時間を守らないと故障のリスクが高まるため注意が必要です。横倒しにより冷媒の流れやコンプレッサーオイルの位置が乱れ、冷却性能の低下や異音、最悪の場合はコンプレッサーの故障を引き起こすことがあります。
各メーカーが推奨する待機時間は6〜24時間と異なりますが、一般的な目安として横倒しにした時間と同じか、それ以上の時間を放置することが推奨されます。また、冷蔵庫を安全に運搬するためには、事前の準備や正しい運搬方法を実践することが重要です。
特に以下のポイントを守ることで、冷蔵庫の故障リスクを減らし、長期間にわたって正常に使用することができます。
- 運搬前に電源を切り、水抜きを行う。
- 可能な限り縦置きで運搬し、横倒しする場合はコンプレッサーを上にする。
- 運搬後は十分な待機時間を確保し、庫内が冷えてから食品を入れる。
- 設置場所を適切に選び、放熱スペースを確保する。
- 異音や冷えないなどのトラブルが発生した場合は、すぐに電源を切り、再度放置時間を確保する。
万が一のトラブルが発生した場合は、メーカーサポートに相談することで適切な対応が可能です。引っ越しや模様替えの際に冷蔵庫を運ぶ機会がある方は、今回の内容を参考にし、安全に冷蔵庫を移動・設置してください。