朝になって子どもが「少し熱っぽい」「お腹が痛い」「今日は学校に行きたくない」と言うと、休ませるほどなのか、それとも登校できるのか迷いやすいところです。
結論からいうと、学校を休ませるかどうかを「体温が何度か」だけで決める必要はありません。体温に加えて、普段どおり会話できるか、水分や食事を取れているか、強い痛みや嘔吐などがないか、感染症の可能性はないか、学校へ行って普段どおり過ごせそうか、といった点を確認します。
また、「体調が悪い」のではなく、学校そのものへの不安や負担から「休みたい」と訴えている場合は、病気の場合とは分けて考える必要があります。
この記事では、朝の確認順、医療機関へ相談する目安、学校への欠席連絡、行き渋りが続く場合の相談先まで順番に整理します。
- 学校を大事をとって休むか迷ったら、まず状況を分ける
- 「38度以上なら休む」のように体温だけで決めない
- 感染症では「出席停止」のルールがある場合がある
- 朝に迷ったときは5つの順番で確認する
- 受診するか迷ったら#8000や「こどもの救急」を利用できる
- 学校への欠席連絡は「分かっている事実」だけでよい
- 熱はないのに「学校を休みたい」と言う場合
- 休みが繰り返されるなら「登校させるか」だけで考えない
- 子どもへの聞き方は「原因の追及」より状態の確認から
- いじめや強い不安などを相談したい場合
- 休んだ日の過ごし方は「翌日必ず登校」を目標にしない
- 学校へ戻るタイミングは病気と行き渋りで分けて考える
- よくある疑問
- まとめ|体温だけでなく「今日安全に学校生活を送れるか」で考える
学校を大事をとって休むか迷ったら、まず状況を分ける
「大事をとって休む」とは、症状が重くなってからではなく、無理を避けて休養するという意味で使われる表現です。
ただし、学校を休む判断には一つの数値だけで決められる共通基準があるわけではありません。まずは次のように状況を分けると判断しやすくなります。
| 子どもの状態 | 考えたい対応 |
|---|---|
| 発熱や強いだるさなどがあり、普段どおり過ごせない | 登校を無理に進めず、休養しながら必要に応じて医療機関へ相談する |
| 嘔吐などがあり、水分を取ることも難しい | 登校より体調確認を優先し、受診や医療相談を検討する |
| 感染症と診断された、または医師から登校について指示を受けている | 医師の指示と学校のルール、法令上の出席停止基準を確認する |
| 軽い症状はあるが、休むべきか判断できない | 症状だけでなく全身状態を確認し、必要ならかかりつけ医や#8000へ相談する |
| 熱などはないが「学校へ行きたくない」と繰り返し訴える | 病気を決めつけず、学校生活の負担や心身の変化も確認する |
「38度以上なら休む」のように体温だけで決めない
体温は判断材料の一つですが、「○度未満だから必ず登校」「○度以上だから必ず欠席」という独自の基準だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
同じ体温でも、元気に会話できる場合と、ぐったりして水分も取れない場合では状況が異なります。
朝は体温だけではなく、次の点も確認します。
- 普段どおり受け答えができているか
- 水分を取れているか
- 食事を取れる状態か
- 強いだるさや痛みがないか
- 嘔吐や下痢などが繰り返していないか
- 咳などの症状で学校生活が難しくないか
- 普段と比べて明らかに様子が違わないか
保護者だけでは判断できない場合に、家庭で病名を推測する必要はありません。症状が強い、悪化している、いつもと明らかに違うなどの場合は医療機関へ相談してください。
感染症では「出席停止」のルールがある場合がある
インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、水痘など、学校での感染拡大を防ぐために出席停止期間の基準が定められている感染症があります。
これらは「本人が元気になったように見えるから登校してよい」と家庭だけで決めるのではなく、診断された病気に応じた基準や医師・学校からの案内を確認します。
現在の対象となる感染症と出席停止期間については、e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」で確認できます。
学校独自の連絡方法や提出物が決められている場合もあるため、学校から配布されている案内もあわせて確認してください。
朝に迷ったときは5つの順番で確認する
1.まず安全に過ごせる状態かを見る
最初に確認したいのは「学校へ行けるか」よりも、子どもの状態です。
普段どおり会話できるか、呼吸に問題がないか、水分を取れるかなどを確認します。
明らかに緊急性が高い状態では、欠席するかどうかを考えるより医療につなぐことを優先します。
2.どのような症状があるか確認する
発熱だけではなく、頭痛、腹痛、吐き気、咳、のどの痛み、下痢、発疹、強いだるさなど、本人が訴えている症状を確認します。
このとき「学校を休みたいから言っているだけ」と最初から決めつけないことも大切です。
3.一日学校で過ごせそうか考える
登校できるかどうかだけでなく、授業や移動、給食、体育などを含めて普段の学校生活を送れそうかを考えます。
朝の時点で明らかにつらそうな場合は、「校門まで行けるか」だけを判断基準にしないほうがよいでしょう。
4.感染症の可能性や学校のルールを確認する
家族やクラスで感染症が流行している、医療機関ですでに診断されているなどの場合は、学校へ連絡し、登校について確認します。
病名がまだ分からない段階なら、家庭で「インフルエンザだと思う」などと断定する必要はありません。
5.体調ではなく「学校へ行くこと」がつらくないか確認する
朝になると腹痛や頭痛を訴える、休日には元気なのに登校日になるとつらくなる、学校へ行きたくない状態が繰り返される場合には、身体的な病気だけでなく学校生活の負担が関係していることもあります。
家庭で原因を決めつけず、「いつから」「どのような場面で」「ほかに変化はないか」を確認して、必要に応じて学校や医療機関などへ相談します。
受診するか迷ったら#8000や「こどもの救急」を利用できる
休日や夜間に子どもの症状が出て、「病院へ行ったほうがいいのか分からない」と迷う場合には、厚生労働省の子ども医療電話相談「#8000」があります。
#8000では、小児科医師や看護師から、症状に応じた対応や受診について助言を受けられます。実施時間は都道府県によって異なるため、厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」で確認してください。
生後1か月から6歳までの子どもについては、厚生労働省研究班・日本小児科学会監修の「こどもの救急」でも、夜間や休日に受診するかどうかを考える際の情報を確認できます。
ただし、これらは緊急時の救急要請に代わるものではありません。意識や呼吸などに明らかな異常があり、緊急性が高いと判断した場合は119番への連絡を優先してください。
学校への欠席連絡は「分かっている事実」だけでよい
学校を休むと決めたら、学校が指定しているアプリ、電話、連絡フォームなどの方法で連絡します。
連絡するときに、診断されていない病名を推測して伝えたり、「明日には治ります」と約束したりする必要はありません。
基本的には次の情報があれば整理しやすくなります。
- 学年・クラス・氏名
- 欠席すること
- 実際に確認できている症状や事情
- 学校へ伝えておきたいこと
- 今後の予定が未定なら、改めて連絡すること
体調不良で休む場合の連絡例
「○年○組の○○です。今朝から発熱とだるさがあり、今日は欠席します。明日以降については体調を確認して改めて連絡します。」
実際に発熱していなければ、「発熱」と書く必要はありません。腹痛なら腹痛、体調がすぐれないならその事実だけを簡潔に伝えます。
行き渋りがある場合の連絡例
「今朝、本人が学校へ行くことに強い不安を訴えており、登校準備が難しいため本日は欠席します。最近の学校での様子について、後ほど相談させてください。」
本人がまだ理由を話せていない場合も、保護者が原因を作って説明する必要はありません。
熱はないのに「学校を休みたい」と言う場合
発熱などの分かりやすい症状がないと、「休ませると甘やかしになるのでは」と迷うことがあります。
しかし、「学校へ行きたくない」という状態そのものは病名ではなく、その背景には人間関係、学習、学校環境への不安、心身の不調などさまざまな事情が考えられます。
厚生労働省も、不登校などの状態では頭痛、腹痛、吐き気、食欲不振、だるさ、不眠、無気力、イライラなどの心身の変化がみられる場合があると案内しています。詳しくは厚生労働省「ひきこもりや不登校というサイン」で確認できます。
学校を休みたい本人が「親へどう伝えればよいか」「仮病を使わず相談するにはどうすればよいか」で困っている場合は、仮病を使わず学校や仕事を休みたい理由を伝える方法も参考にしてください。

休みが繰り返されるなら「登校させるか」だけで考えない
一日の体調不良と、学校へ行けない状態が長く続いているケースは分けて考える必要があります。
「今日休ませたら不登校になる」と決めつけて無理に結論を出す必要はありませんが、休みが繰り返されている場合は、家庭だけで毎朝同じ判断を続けるのではなく、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなどへ状況を共有します。
文部科学省の教育機会確保法では、不登校児童生徒への支援について、個々の児童生徒の休養の必要性を踏まえることが定められています。
詳しくは文部科学省「教育機会確保法」で確認できます。
これは「休ませていれば何もしなくてよい」という意味ではありません。本人の心身の状態を確認しながら、必要な学習支援や学校との調整、外部相談などを検討していくことが大切です。
子どもへの聞き方は「原因の追及」より状態の確認から
「どうして行きたくないの?」「誰かに何かされたの?」と立て続けに質問すると、本人も理由を整理できていない場合には答えることが難しくなります。
まずは、次のように現在の状態を確認します。
- 「今、一番つらいのはどんなこと?」
- 「体がつらい?それとも学校のことがつらい?」
- 「今は話したくなければ、後でも大丈夫だよ」
- 「先生に伝えてほしくないことがあれば教えてね」
厚生労働省も、子どもの話を聞くときには、大人側の意見を急いで伝える前に気持ちを受け止めることを案内しています。
いじめや強い不安などを相談したい場合
学校へ行くことへの強い恐怖、いじめ、人間関係などの問題があり、家族や学校だけでは相談しにくい場合には外部の相談窓口も利用できます。
文部科学省の24時間子供SOSダイヤルでは、いじめを含む子どものSOSについて、夜間・休日を含めて相談できます。
詳しい利用方法は文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」で確認してください。
子どもが自分や他人を傷つけることを話している、命に関わる危険があるなど、緊急性が高い場合は、通常の学校相談だけで済ませず安全確保を優先してください。
休んだ日の過ごし方は「翌日必ず登校」を目標にしない
欠席したその日に「明日は絶対に行く」と約束させる必要はありません。
体調不良ならまず休養し、症状の変化を確認します。学校への不安などが背景にある場合は、本人が落ち着いてから、学校へ伝えてよいことや翌日に利用できる支援について相談します。
必要に応じて、次のような点を学校へ確認してもよいでしょう。
- 遅れて登校することは可能か
- 保健室や別室などを利用できるか
- 休んだ授業や課題をどのように確認できるか
- 担任以外に相談できる教職員がいるか
選べる対応は学校によって異なるため、利用できるものを学校と相談してください。
学校へ戻るタイミングは病気と行き渋りで分けて考える
体調不良で休んだ場合
体温だけではなく、症状が改善して学校生活を送れる状態かを確認します。
感染症と診断されている場合は、学校保健安全法施行規則の基準や医師・学校からの指示に従います。
学校への不安などで休んだ場合
「完全に元気になったら通常登校」という一つの選択肢だけで考えず、学校と相談しながら遅刻、早退、別室利用など本人の状態に応じた方法を検討できる場合があります。
休みが長くなっている場合は、登校だけを唯一の目標にせず、本人の心身の状態、学習、相談支援を含めて考えます。
よくある疑問
微熱でも元気なら学校へ行ってよいですか?
体温だけから一律には判断できません。普段の平熱、ほかの症状、全身状態、感染症の可能性、学校のルールなどを確認してください。
判断に迷う場合は、かかりつけ医や#8000などへ相談する方法があります。
一日休ませると不登校になりませんか?
一日の欠席だけから、その後に不登校になるかどうかを判断することはできません。
まずその日の心身の状態を確認し、学校へ行きづらい状態が繰り返される場合は、家庭だけで抱えず学校や相談機関につなげて考えます。
「大事をとって休みます」と学校へ伝えてもいいですか?
伝えても問題ありませんが、学校側が状況を把握しやすいよう、「今朝から腹痛があるため大事をとって休みます」など、確認できている事実を短く添えると分かりやすくなります。
欠席するときに病名まで伝える必要がありますか?
診断されていない病名を自分で決めて伝える必要はありません。学校が必要としている情報や連絡方法に従い、確認できている症状や事情を伝えます。
感染症などで特別な手続きが必要な場合は、学校からの案内や医療機関の指示を確認してください。
まとめ|体温だけでなく「今日安全に学校生活を送れるか」で考える
子どもを学校から大事をとって休ませるか迷ったときは、「38度以上なら休み」といった一つの数字だけで判断しないことが大切です。
まずは次の順番で確認してください。
- 普段どおり会話でき、水分を取れる状態か
- どのような症状があり、普段と比べてどう違うか
- 一日学校生活を送れる状態か
- 感染症の可能性や出席停止のルールがないか
- 体調ではなく、学校へ行くこと自体がつらくなっていないか
症状について判断できない場合は医療機関や#8000などへ相談し、行き渋りが続く場合は学校や相談機関へ状況を共有します。
「休ませるか、行かせるか」を家庭だけで毎朝繰り返すのではなく、子どもの状態に合わせて医療・学校・相談先を使い分けることが、次の行動を決める助けになります。


