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ビザ手数料5倍は「外国人対策」ではない、見落とされている本当の論点

コラム
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外国人向けビザ手数料の5倍引き上げで見るべき結論は、これは「外国人を締め出す政策」ではなく、長く据え置かれてきた行政手数料を物価と為替に合わせて更新する動きだという点です。

今回の発表では、外国人が日本に入国する際のビザについて、7月1日から発行手数料が引き上げられます。一回に限り入国できる一次ビザは3000円から1万5000円へ、有効期間内に複数回入国できる数次ビザは6000円から3万円へ変わります。倍率だけを見ると大きな値上げに見えますが、背景には1978年から手数料が変わっていなかったという事情があります。

ここでズレが起きやすいのは、ニュースの読み方です。反応欄では、こうした話題が出るとすぐに「もっと取ればいい」「外国人対策だ」「日本もようやく厳しくなった」という受け止め方に流れがちです。しかし、政府が示した理由は治安対策でも移民抑制でもなく、物価上昇や為替相場の変動への対応です。つまり、制度の値付けを現実のコストに近づける話であって、誰かを罰する話ではありません。

もちろん、外国人向けのビザ手数料である以上、影響を受けるのは訪日外国人、留学生、就労目的で来日する人、出張者などです。観光業や宿泊業、航空業界にとっては、申請費用の上昇が心理的な負担になる可能性もあります。ただし、茂木外務大臣はインバウンドへの影響がすぐに出るとは考えていないと説明しています。旅行全体の費用に比べれば、数千円から数万円の手数料が単独で訪日判断を大きく変えるとは限らないためです。

一方で、今回の値上げを単純に歓迎するだけでは見落とすものがあります。行政手数料は、誰かから多く取ればよいというものではなく、何のサービスにどれだけのコストがかかり、その負担を誰が持つべきかという設計の問題です。外国人だから高くすればよい、日本人だから安くすればよい、という感情だけで読むと、制度の中身が見えなくなります。

特に今回のニュースでは、日本人がパスポートを取得するための申請手数料が同じ日から大幅に引き下げられる点も重要です。外国人向けの手数料は上がり、日本人向けの一部手数料は下がる。この並びだけを見ると、内外で扱いを変えたように見えます。しかし、実際にはそれぞれ別の手続きであり、費用構造や見直しの理由も分けて確認する必要があります。

「もっと取れ」という反応は分かりやすく、拡散されやすい言葉です。しかし、それは政策論ではなく感情の処理になりやすい。今回の本当の論点は、外国人をどう扱うかではなく、1978年から止まっていた手数料感覚を、今の物価、為替、国際比較に合わせてどう直すかです。

制度の変更を読むときに大切なのは、怒る相手を探すことではありません。見るべきなのは、対象、金額、理由、影響、そして今後の見直しの方向です。今回でいえば、一次ビザが1万5000円、数次ビザが3万円になること、その理由が物価上昇と為替変動であること、インバウンドへの即時影響は限定的と見られていることが確認すべき中心です。

次に取るべき行動は一つです。外務省などの公式発表で、自分に関係するビザの種類、対象国、手数料、開始日を確認することです。反応欄の空気ではなく、制度の中身を確認することで、このニュースの意味はかなり違って見えてきます。