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MDFとは?オフィス配線工事で知っておきたい基礎知識

テクノロジー
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オフィスの移転やレイアウト変更にともなって通信回線の工事を手配すると、見積書や工事担当者との打ち合わせの中で「MDF」という言葉に出会うことがあります。
聞き慣れない略語のため、そのまま読み流してしまう担当者の方も少なくないでしょう。

ただし、この設備への理解が不足していると、工事当日になって「鍵が用意できていない」「回線の増設ができない」といった思いがけないトラブルにつながることもあります。
今回は、MDFの基本的な役割から、混同されやすいIDF・EPSとの違い、責任分界点の考え方、さらにはPBXとの違いまでを、総務・情シスの実務担当者の目線でひととおり整理してみます。

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MDFとは何か、まず押さえておきたい基本

MDFは、「Main Distributing Frame」という英語の頭文字を取った略称です。
日本語では「主配線盤」と訳されており、IT関連の設備を扱う業界ではごく一般的に使われている用語となります。

読み方としては、そのまま「エムディーエフ」と呼ばれることが多いようです。
木材加工で使われる「MDF(中密度繊維板)」と同じ略称のため、初めて聞いた方は混同しやすい点にも注意が必要かもしれません。

この設備の基本的な役割は、建物の外から引き込まれる複数の通信回線を、一箇所にまとめて集約することです。
電話局はもちろん、マンションなどの集合住宅や、複数のテナントが入るオフィスビルでも広く使われています。

仮にMDFのような集約装置がなければ、各部屋やテナントに回線を個別に引き込む必要が生じ、配線は非常に煩雑な状態になってしまうでしょう。
壁の中や天井裏を何本もの配線が交差する光景を思い浮かべれば、管理の難しさや見た目の悪さが胸に迫ってくるのではないでしょうか。

MDFを設置すると、屋外から届いた通信回線はまずこの主配線盤に集められ、そこから各部屋・各テナントへときれいに振り分けられていきます。
道路網における交差点や、鉄道路線の乗換駅のような役割を担っている設備だと考えると、イメージが掴みやすいかもしれません。

設置場所については、建物ごとに事情が異なります。
管理人室や1階の共用スペースに置かれる場合もあれば、MDF専用の小部屋(MDF室)が用意されているケースも見られます。

屋外に設置すると、雨風による劣化や盗難のリスクが高まるため、屋内での管理が優先される傾向にあるようです。
また、多くのMDFは施錠管理されており、誰でも自由に操作できる状態にはなっていません。

これは、配線を誤って触ってしまうと、建物内の複数のテナントに通信障害を及ぼしかねないためです。
オーナー側の資産として扱われることが一般的で、テナント側が工事のために鍵を借りる際には、事前の申請や許可が必要になるケースが多いといわれています。

 

MDFがどのような設備なのかがつかめたところで、次は混同されがちな関連設備との違いに目を向けてみましょう。

IDF・EPSとの違いを整理する

MDFと似た文脈で登場する用語に、IDFとEPSがあります。
いずれも配線に関わる設備・空間を指す言葉ですが、それぞれの意味は異なるため、ここで整理しておきましょう。

IDFは「Intermediate Distribution Frame」の略で、日本語では「中間配線盤」と呼ばれます。
これは、MDFに集約された通信回線を、さらに各フロアや各部屋へと中継するための設備です。

オフィスビルのように複数階にわたって多数のテナントが入居している建物では、MDFひとつだけで全フロアの配線を賄うことが難しくなる場合があります。
そうした状況を解消するために、各フロアにIDFを設置し、MDFと各室との間の橋渡し役を担わせる構成が一般的に取られています。

たとえるなら、MDFが幹線道路であるのに対し、IDFは各地域につながる支線道路のような位置づけといえるかもしれません。

一方のEPSは「Electric Pipe Shaft(またはSpace)」の略称で、電気や通信の配線を通すための配管スペースそのものを指す言葉です。
MDFやIDFが「装置・機器」を指すのに対し、EPSは「その装置を収める空間」を指しているという点が、大きな違いといえます。

集合住宅やオフィスビルにEPSが確保されていると、通信設備を一箇所にまとめて管理しやすくなり、後々の工事や保守もスムーズに進めやすくなるでしょう。

比較の形で整理すると、MDFは建物全体の通信回線を集約する主配線盤、IDFは各フロア・各エリアへ回線を中継する中間配線盤、EPSはこれらの装置を収納する配管スペース、という位置づけになります。
いずれも施錠管理されるケースが多く、工事の際にはそれぞれの鍵の手配が必要になる点は共通しています。

総務担当者としては、この三つの用語を混同しないよう、まず「装置なのか空間なのか」という切り口で整理しておくと理解しやすいでしょう。

 

用語の整理がついたところで、続いては配線工事につきものの「責任分界点」という考え方に踏み込んでいきます。

配線工事における責任分界点の考え方

オフィスで配線工事を行う際には、「どこからどこまでが誰の責任範囲なのか」という責任分界点の考え方を理解しておくことも欠かせません。
この認識が曖昧なまま工事を進めてしまうと、トラブル発生時に対応の押し付け合いになってしまう可能性もあるため、注意が必要でしょう。

光回線の場合、責任の所在は宅内ルーターを境に分かれる傾向があります。
電柱から宅内ルーターまでの区間は、通信会社が責任をもって管理する範囲とされることが一般的です。

一方で、宅内ルーターから先、各機器までの接続に関しては、テナント側の責任で対応するケースが多いといわれています。
ビルのオーナーについては明確な管理責任が定められていない場合もありますが、配電管や配線盤そのものが故障した際には、オーナー側の対応が求められることもあるようです。

電話回線の場合は、基本的にMDFを境界として責任が分かれる傾向にあります。
電柱からMDFまでは通信会社の管轄範囲とされ、この区間で不具合が起きた際には通信会社が対応することになるでしょう。

それに対し、MDFより先の区間は、原則として物件のオーナーが責任を負う領域とされています。
ただし、建物にIDFが設置されている場合は事情が変わり、IDFより先の配線や機器についてはテナント側の責任が生じるケースが多いとされています。

オフィスの移転やレイアウト変更にともなって配線工事を行う際は、この点を事前に確認しておくと安心かもしれません。

なお、物件情報などで見かける「MDF引込済物件」という表記にも注意が必要です。
これは、建物のMDFまで通信回線の引き込みが完了している物件を意味しますが、そこから先、各テナントのスペースまでの配線工事は別途必要になります。

「MDFまで来ているから、あとはコンセントに挿すだけ」と誤解してしまうと、実際の工事スケジュールとのズレに肩を落とすことにもなりかねません。
物件選びや移転計画の段階から、この点は留意しておくとよいでしょう。

 

責任の所在がわかったところで、今度はそれを踏まえた具体的な事前準備の話に移ります。

工事当日に慌てないための事前準備

MDFに関連するトラブルの多くは、事前の準備を丁寧に行うことである程度は防げると考えられます。
ここでは、実務担当者の目線から気をつけておきたいポイントをいくつか紹介します。

まず確認しておきたいのが、MDFの空き状況です。
建物によっては、すでに多くのテナントが回線を利用しており、MDFの端子に余裕がない場合があります。

この状態で新たに回線を増設しようとすると、工事自体が難航してしまう可能性も出てくるでしょう。
移転や増設の計画段階で、あらかじめビルの管理会社やオーナーに空き状況を確認しておくことをおすすめします。

次に重要なのが、鍵の手配です。
前述の通り、MDFやIDF、EPSの多くは施錠管理されており、テナント側が勝手に開錠することはできません。

工事業者が現地に到着しても、鍵が用意されていなければ作業に着手できず、結果として工事日程の延期や、追加費用の発生につながってしまうこともあります。
念のためお伝えしますが、これは実際によく起こりがちな見落としでもあるため、工事日が決まった段階で、早めにオーナー側へ鍵の借用を申請しておくと安心でしょう。

また、配線用の配管に不具合がないかどうかも、事前にチェックしておきたいポイントです。
IDFからオフィスまでの配管が経年劣化していたり、そもそも配管自体が用意されていなかったりすると、新たに配線を通すこと自体が難しくなる場合があります。

特に築年数の古いビルへ移転する際は、この点を軽視しないほうがよいかもしれません。

これらの準備を怠ると、工事の延期による業務開始日のずれ込みや、追加工事費の発生といった実務上の負担につながります。
移転や増設が決まった段階で、できるだけ早めにビル管理会社・通信会社・工事業者の三者と連携を取っておくことが、結果的にスムーズな工事につながるといえるでしょう。

実際によく聞かれるケースとして、移転先のオフィスを内見した際には特に問題がないように見えたものの、いざ工事の段階になってからMDFの端子に空きがないことが判明し、増設工事そのものに追加の日数がかかってしまった、という例があります。
内見時には気づかずに契約を進めてしまい、後になって頭を抱えるテナント担当者も少なくないようです。

内見の時点では配線設備の内部までは確認しにくいため、契約前や工事計画の初期段階で、管理会社を通じて設備状況を照会しておくことが望ましいでしょう。
鍵の借用についても、依頼してから実際に受け取るまでに数日を要する管理会社があります。

工事日の直前になって慌てないよう、余裕をもったスケジュールを組んでおくと安心です。

 

配線まわりの備えができたところで、最後にもうひとつ、電話環境を語るうえで欠かせない設備を見ておきます。

MDFとPBXは何が違うのか

MDFとあわせてよく話題に上る設備として、PBXがあります。
どちらもオフィスの電話環境に関わる装置ですが、担っている役割はまったく異なるものです。

PBXは「Private Branch Exchange」の略で、日本語では「構内交換機」と呼ばれます。
MDFが通信回線を集約する配線盤であるのに対し、PBXは電話の発着信を制御する交換機であるという点が、両者の大きな違いです。

PBXの主な役割は、外線と内線の切り替えや、内線同士の接続です。
オフィスの代表電話番号にかかってきた電話を担当者の内線につなぐ、あるいは社内の別の部署へ取り次ぐ、といった処理を担っています。

契約している回線を親番号として設定し、そこに複数の子番号を割り振ることで、少ない回線数でも多くの内線を運用できる仕組みになっています。
内線同士の通話には外線を使わないため、通話料金がかからないというメリットもあります。

近年では、この機能をインターネット経由で提供するクラウドPBXを導入する企業も増えています。
従来型のPBXは、社内に交換機の本体を設置する必要がありましたが、クラウドPBXであれば実体としての機器を置く必要がなく、オフィススペースを有効に活用できます。

インターネット環境さえあれば、パソコンやスマートフォンを内線として使うことも可能になり、複数拠点や海外拠点との連携もしやすくなるでしょう。
一方で、通話品質がネット環境に左右されやすい点や、緊急通報に対応していないサービスがある点には留意しておく必要があります。

オフィスの移転にあわせて電話環境を見直す場合、MDFやIDFといった配線設備の確認とあわせて、PBXをどう構成するかも検討課題になってきます。
従来型の主装置を新しいオフィスにも設置するのか、それともこの機会にクラウドPBXへの切り替えを検討するのか、予算やオフィスの利用スタイルにあわせて判断していくとよいでしょう。

たとえば、複数の拠点を展開している企業であれば、拠点ごとに個別のPBXを設置するよりも、クラウドPBXでまとめて管理したほうが、内線同士のやり取りが円滑になり、運用コストの見直しにもつながりやすいと考えられます。
一方で、コールセンターのように大量の同時通話が発生する部門を抱えるオフィスの場合は、通話品質や安定性を重視して、従来型のPBXを継続する選択も十分に検討に値するでしょう。

どちらが適しているかは、業種やオフィスの規模、既存の通信環境によっても変わってくるため、一概にどちらが優れているとは言い切れない部分もあります。

 

ここまで見てきた内容を、最後に振り返っておきましょう。

まとめ 配線工事は事前確認がすべて

ここまで、MDFの基本的な役割や設置場所、IDF・EPSとの違い、責任分界点の考え方、そしてPBXとの違いについて整理してきました。
MDFは建物内の通信回線を一箇所に集約する主配線盤であり、IDFはそこから各フロアへ回線を中継する中間配線盤、EPSはこれらの機器を収める配管スペースを指す言葉です。

あわせて、光回線・電話回線それぞれで責任分界点の位置が異なることや、IDFの有無によってテナント側の責任範囲が変わってくることも押さえておきたいポイントといえます。

オフィスの移転やレイアウト変更、回線の増設を控えている場合は、工事当日になって慌てることのないよう、MDFの空き状況や鍵の手配、配管の状態について早めに確認しておくことをおすすめします。
あわせて、電話環境についても、従来型のPBXを継続するのか、クラウドPBXへの切り替えを検討するのか、この機会に見直してみるのもよいかもしれません。

配線工事や電話環境の見直しについて不明な点や不安な点があれば、専門の業者へ相談することで、余計なトラブルを避けやすくなるでしょう。
移転計画の早い段階から専門家に相談しておくことは、結果としてスムーズな工事進行にもつながっていくはずです。